やめよう。何もかも

お酒大好き!!労働はきらいです

さて、どう生きようか。俺は毎日食って寝て生きていきたい。

 

君たちはどう生きるか』をみてきた。

 

前情報が一切明かされずに公開されたこの映画。インターネットじゃ公開直前から既に大喜利大会になっているけど、せっかくなら情報が入ってくる前に見ておきたい。ということで朝一の上映で見てきた。ジブリあまり見てるわけじゃ無いけど、もののけ姫とか千と千尋の神隠しとか、よくテレビでやってるやつはあらかた見ていると思う。一番好きなのは思い出のマーニー(女の子が出てくるので)。

あまりにも情報が出てこなかったために、タイトルから推測して宮崎駿がお説教してくる映画になるんじゃないかと思っていたけど、案外そういうわけでもなかった。個人的には映像で概ね楽しめたが、少し言葉足らずだと思った。タイトルの元になった本は読んでないが、多分全然違う話だと思う。

 

舞台は戦時下の日本。火事で母親を失った主人公の眞人が、父の再婚をきっかけに地方へ疎開。そこで出会う新しい母親と森の奥に潜む不思議な塔、そして謎のアオサギに出会う。

 

と、ここまで書いてみると「風立ちぬ」のような戦争ものっぽく見える。実際はじめのほうは「宮崎駿の半生でも描くんか……?」とか思ってた。ジブリこの世界の片隅に的な。まあそんな想像は早々に打ち消されるわけだが。(実際、年齢も合わないだろうし)

物語としては、眞人が新しい母親を受け入れていくという話なんだろう。これまでの母親に対するマザコン気味(若くして死んでしまったので、理解はできるが)な愛情を持ちつつ、新しい母親も母親として受け入れる。

面白いのが、この新しい母親のナツコ(うろ覚えなんだけど確かこの名前だったはず)が死んだ母とうり二つでその上、母の実の妹なことだ。仕事が出来て少々過保護気味な父親が、死んだ母親の妹を娶ってくるのだから、眞人の心中は複雑だったろう。正直笑ってしまった。

アオサギというのは、唯一出ていたビジュアルの鳥だ。

こいつ

目が2つあるように見えるのは実際にふたつあるからで、あのくちばしの下に本物の顔がある。ポスターのイラストだとなんだかスタイリッシュなかっこよ鳥(かっこよバード)なんだけど、実際出てくるのは小汚いおっさんだったので驚いた。しかもめちゃめちゃ嘘をつくし裏切るし、ポジションとしては中ボスの情けないおっさん。

しかしこのおっさんが割と重要な役どころで、はじめは眞人を騙そうとしているのだが、後半の異世界では攫われた(自ら迷い込んだ?)新しい母親のナツコを探す手助けをしてくれる。なぜ騙そうとしていたのかや、彼がどういう立ち位置でいるのかが一切説明されないが、まあ本作においては説明されていなことが多すぎるのでどうでもいい。コミカルな動きと、眞人の子どもっぽい一面を引き出す冒険のオトモと行ったところだ。最後に仲間になるジコ坊みたいだと思った。

 

思えば、眞人はどことなくアシタカに似ているような気もする。迷いがあまりなく、主人公主人公しているというか。おそらく小学校高学年くらいの年齢だと思うけど、青年と言われても違和感が無い。あの年齢でパッと思いつくのは未来少年コナンだけど全く違う。母親が死んで落ち着きを得たのか、それとも戦時下の日本を描く上で徴兵されない年齢を選んだのか。いずれにせよ、序盤から礼儀正しいような描写があったので、意図したものではあるんだろうが。

その上かなりずる賢く、それでいて謎にぶれない芯がある。アオサギが「母親が助けを求めている」と誘惑しても、「(母は既に死んでいるので)そんなはずはない」「罠でも確かめなければ」といった具合にガンガン進んでいく。正直年齢にそぐわなさすぎる。

が、一方でそんな大人びた性格が、眞人のマザコンをより際立たせているように思えた。

 

眞人は早くに母親を亡くしたために、その母性を何処かに求めていたんだろうと思う。この手の話でありがちな「父親がほっときすぎ問題」は正直あまり感じなかった。どちらかというと過保護気味で、父さんがかわりにやっつけてやる系の父親。眞人らが異世界で行方不明になった際には、隅々まで探していたそうだし、自ら日本刀を掲げて助けに行くほど。ただそこに眞人の求めていた母性ではなく、そんな父親に「甘える」ということはあまり出来なかったんじゃないか。

この映画のマザコン性を感じたのは異世界で出会ったキリコとの別れのシーン、眞人が別れの挨拶で彼女に抱きついた場面だ。そこまで妙に大人びたイメージを眞人に感じていたので、この行動には正直驚いた。キリコは一緒に行方不明になったお手伝いの一人。どうやら過去にも異世界に飛ばされたことがあるようで、その当時の若い頃の姿で出てくる。この世界の世話役として元の世界で生まれてくる、精霊のような存在のために餌を獲っている。この映画で一番たくましく、おそらく観客の中で最も人気になりそうなキャラクターだった。ここでの時間はあまり長くなかっただろうが、それでも眞人は彼女に懐いているようで、後に現れるアオサギと喧嘩をする場面では子供らしい姿を彼女の前で見せアオサギ共々キリコに諌められている。

鳥は初めて見た物を親だと認識するそうだが、異世界で初めてあった彼女に世話をされた眞人は、そんな彼女に母性を見出したのではなかろうか。

 

その後の話は正直あまりピンと来なかったので割愛するが、かなり急ぎ足なように感じた。大叔父のいう世界というのが、この異世界なのか、それとも戦争真っ只中のこちらの世界なのか。ラストを見る限り後者のように感じるが(そうでないとペリカンの話もあまり理解ができないので)、それを眞人に託そうとするのは流石に無理やりすぎる。前述のアオサギの立ち位置や、眞人がどの時点でナツコを受け入れたのかもよくわかっていない。

あまり繋がらなかったのは俺の理解力不足か、それともパヤオの中で語りきれてない物語が有るのか。もしそうだとしたら、何か別の形で補完してくれることを願うばかりだ。

 

後半は本当にそのような感じだったので、正直映像だけで持っているように感じた。映像は当にジブリで、おそらくCGと手書きを混在させたているのだと思うが違和感を微塵も感じなかった。個人的にこのCGと手書きの混在は個人的に今のアニメで一番求めているものなので、ジブリという日本のスーパーアニメ制作集団がつくるそれを見られたのはとても良かった。そこだけを期待して見に行ってもいい。むしろストーリーは程々の期待で観た方がいいだろう。