やめよう。何もかも

お酒大好き!!労働はきらいです

『同志少女よ、敵を撃て』をよんだ

おもしろかった

いちおうロシアウォッチャーの端くれだったので、話題になってたときにすぐ読もう絶対読もう!!と思っていた。が、結局読めずじまいで、さっさと読まねば……を2年くらい繰り返していた。あほめ……

訳あって実家に帰っていたので(過去日記)「今だ!!」ということで長距離移動中に読んだ。物語の読みやすさと、どんどん引き込まれていく面白さでLCCの硬い座席の中でもずっと集中して読むことができた。久々に小説とかいうやつを読んだけど、いいな小説……楽しい……と、久々にはまってしまった。

主人公セラフィマが直面する理不尽な運命やエリーナへの感情、その後に出会う訓練学校と同じ境遇の仲間たちなど、戦争小説の硬さよりも読みやすい設定と内容ですいすい頭の中に入ってくる。特に訓練学校の話はちょっと萌えアニメっぽくてオタクに親和性があった。シャルロッタなんかずっと釘宮理恵で脳内再生されてたもんな。

中盤のスターリングラードの戦いなんかは、かつてのミリオタ魂が再燃して「あぁ~はいはいウラヌス作戦ね」(ニチャ)や「スターリングラードかぁ……」(ニチャリ……)がずっと続いていた。『どくそせん』で独ソ戦を学んでいたオタクなので……

あとシャルロッタとのキスのシーンでは終始「……ッ!!」(ニチャ……)となった。いいよね、あいさつのキス……。

戦闘シーンは戦記モノならではなテンポのいいアクションがあり、かつ狙撃兵の心理的な戦いや心情に寄ったストーリーで気持ちいい緩急を楽しめた。特にラストのカリーニングラードでの戦いでは(「カリーニングラードね……」(ニチャ……)」)、これまでに登場したキャラクターたちの戦いを生き残るための教訓や兵士としての想いが、ここで布石としてセラフィマの行動や思考を通して最後に収斂されていくのは、読んでいてとても気持ちよかった。

全体を通して「戦争とはなにか」「戦争の中で生きている女性たち」といったテーマを、各地を転戦し、兵士として成長していくセラフィマの気持ちから常につきつけられていた。テンポのいいアクションの裏で、このテーマは常に隅におり一時も気が抜けない。そのおかげで女性兵士として育てられたセラフィマのやるせなさや戦争の混沌が感じられて感情移入ができる。最終的に彼女自身の、この戦争に対するひとつの結論がしっかりと出されるため、後味も良くスッキリと見終えることができた。

戦争小説にしてはかなり読みやすく、特にセラフィマやシャルロッタといったキャラクターの魅力がとても立っている小説だと感じた。はぁはぁシャルロッタたそ……かわいいねはぁはぁ

百合小説とよく聞いていたが、まあそういう見方もできるな、という印象で、どらかというと弱者から見た戦争、のイメージが個人的には強い。エピローグ(多分単行本化で書き下ろされたものだろうけど)のあたりとか。参考文献で「戦争は女の顔をしていない」が上がっていたのはやはりそうだよな、と思った。

まあそれはそれとして僕も百合小説は好きですが。
戦争モノも好きだしソ連オタクでもあったのでドハマりの小説だった。もっと早く読めばよかったな。

このシーンめちゃめちゃゴールデンカムイっぽくてよかった。