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西部戦線異状ありすぎ

よかった。

多分ネタバレがある。名作小説の映画化なんだからネタバレもクソもねぇや。

兵士の日常と、戦場の酷さを淡々と描かれていた。
冒頭、戦争に憧れを抱いて意気揚々と徴兵検査へ挑む青年たちがとてもよかった。愛国心からの熱狂と戦場の実情が知らされてない、戦争から離れた世界に生きている当時の人々。その直後に映し出される塹壕と泥水、砲声、友人の死体が、浮かれている主人公に現実を見せつける。
そんな中でも、兵士たちにも生活がある。食事や睡眠は当然とるし、味気ない食糧に彩りを持たせるため民家へ忍び込んでガチョウを盗んできたりもする。雑談をしながらじゃがいもを剥く主人公たちの姿は、ありえんほど大量のじゃがいもは一旦置いといても、まるで兵士には見えない。
実際、集まっている兵士は学生や靴職人、印刷業など。敵をナイフで刺し殺した主人公が、彼の胸から取り出した手帳をみて職業を知るシーンはとても印象的だった。兵士として参戦していても、そこにいる人達は数年前まではそれで仕事をしている人たちで、生活があったことを思わせる。

戦闘シーンではプライベート・ライアンや1917のような、血と泥に塗れた暗い戦場が描かれていて臨場感があった。ただそれらの映画とは違い、なにかひとつの物語があるわけじゃなく、あくまで戦場を駆け回る一兵卒からみた第一次世界大戦といった感じ。そこはとても原作小説のらしさを感じた。このあたりは好みが分かれるポイントかもしれない。映像や音がとてもいいのに映画館で上映しなかったのは、そういった物語性が少し薄いからかと思う。

原作との違いはかなりある。キャラクターの死に方や、全体的な物語。ラストシーンなんかは特に。『西部戦線異状なし』で描かれる「兵士から見た戦争」を映像化したかったという思いを感じた。その点はとても表現されているし、好みの題材なので嬉しい。うん、やっぱり先に上げた映画よりは連続ドラマのパシフィックに近いと思う。あれを二時間にしたような映画。
エンドクレジット前のテロップが、そんな戦場での出来事を淡々と描こうとした映画であることを感じた。個人的に残念だったところがひとつ、ラストでのタイトル回収がされなかったことだ。(どうやら昔作られた映画でも、このシーンは無いらしい)
小説ではそこで「おぉ……」となったので映像でもやってほしかった。終盤見てる感じ無理そうだなぁ~って感じはしていたけど。みたかったな
でも全体的には面白いし、戦争映画の暗さを感じられてとてもよかった。いい映画でした